暗闇に浮き彫りにされた木の枝。オーバーラップする色によって生まれた作品。蒼い空に浮き上がる冷淡なイメージは忘れていた遥か昔の畏怖を想い起させる。
寒色と暖色の織り交ぜ車をパーツごとに塗り分ける。背景のグリーンはマシンと人が最初に出会った原野を意味する。 作品下部にある「ぶら下がったパーツ」は色塗りされた様々なヒューズ、黒が支配色だが、これは修理作業が外観を損なっていることを表現している。描かれた車は正面を凝視し、傷つけられた尊厳を保とうとしている。
明と暗、虚と満。背景で模様がまだらに混ざり合う中、見る者の目に頭部に穴がある別の道具が憮然と姿を表す。頭部の穴は完全な「空虚」を表わすが、これは利用価値のある「空虚」である。存在しない「虚」という状態であることに価値があり、「虚」がなければ何の役にも立たないであろう。
線と道―心が描く空想上の境界線、それは空間を埋めていく寒色の小さな色たち。少年がじっと目で追う動かない蟻の行列。
この彫刻作品を見るものは、異なる幾何学的形状間に生じている緊張を肌で感じるに違いない。
1948年 スペイン・ビルバオ生まれ。 建築及び建築施工学を修了後、家具・インテリアデザインに携わる。 1979年 ガリシアへ転居。彼の作品の大部分はこの地で制作されている。 1992年 以来、スペイン国内デザインコンクールに出品、入選。 その他、建築・店舗内装プロジェクトも行なっている。 現在、創作活動の他、ビゴ大学ポンテベドラ美術学部(スペイン・ガリシア)で教鞭をとる スペイン北部ガリシア地方で活躍するイナシオ・ウルティアは、 建築家・インテリアデザイナーである他、 絵画や彫刻のモダンアートも幅広く手がけるクリエイター。 フランスと国境を接するバスク地方生まれ。 スペインでも特有の文化をもつバスク人の血と、 彼が長年暮らすガリシアの 大地から得るインスピレーションが独特の作風を生んでいます。
彼のユニークな作品は上記のリンク先でご覧いただけます。