大嶌貞男
2019.4.22mon~4.27sat
11:00~19:00(日曜日定休日・土曜は17:00まで)
どうぞよろしくお願いします。
面妖な起伏絵画
一見寡黙な表情だが、やがて面妖さが迫り出してくる起伏(レリーフ)絵画。ものの変容の一瞬を掴まえたような起伏フォルムが精緻なモノクローム塗色で覆われる。
大嶌は美大時代フレスコ画の長谷川路可に師事したという貴重な経験がある。試行錯誤のうち30代には斎藤義重などストイックな造形の道を辿る。色彩はほぼモノクロームで合板にハードエッジな矩形が重ねられ、静まり返ったなかに変化が萌す緊張感が追求された。いくつかのコンクール展入賞を経て、しかし世紀変わる前後、起伏状フォルムが生々しさを帯びることに。ほぼモノクロームだが、人間を含む存在というものの変容の面妖さが際立ってくるのだ。蠢く生体、拡大された口唇の妖しい起伏、カフカの『変身』につながろう「ザムザ氏の羽化」(2014年)の眩惑感など、存在というものがいかに避け難く、信じ難く変容し、反転し、または豹変し、あるいは破局に瀕するか、面妖なサスペンスへと誘うといっていい。
俗受け、市場狙いの声高、浮華、小手先芸がはびこる美術界のなかで、ほとんどが百号大以上で続けられるそのシリアスなまでの追究は見守るのに値する。
(美術評論家・日夏露彦)
●大嶌貞男・略歴
1941 京都府福知山市生まれ
1966 武蔵野美術大学卒
1980~1983 埼玉美術の祭典コンクール入選(‘80佳作賞、‘82大賞受賞)/埼玉文化会館
1985,1987,1998 現代日本美術展入選/東京都美術館(‘98賞候補/東京都および京都市美術館)
1986, 1987 伊豆美術祭絵画公募展入選(‘86優秀賞受賞) /伊東市文化会館
1986 日本国際美術展入選、賞候補/東京都美術館、京都美術館
1989~2003 CAF展/埼玉県立近代美術館
2002,2013 『風の芸術祭』トリエンナーレまくらざき入選(‘13 佳作賞)/枕崎市南溟館
2004~2007 CAF・NEBULA展/埼玉県立近代美術館
2007,2008 アート・ナウKANAZAWA北陸中日美術展入選/金沢21世紀美術館市民ギャラリー
2016 あさごアートコンペティション入選/あさご芸術の森美術館
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