<小勝禮子 企画>
ジェンダー/女たちが展く新しい風景 Vol.2
碓井ゆい 展
ギャルリー志門30周年記念特別企画No.10
2017. 9.15fri~9.23sat
11:00~19:00(最終日は17:00まで) 会期中無休
是非ご高覧くださいますようお待ちしております。
碓井ゆい 展 vol.2
「しなやかでひそやかだけれどしたたかなおんなたちのつぶやき」
2012-13年に「アジアをつなぐ―境界を生きる女たち1984-2012」という展覧会を開催して、アジアに生きる女性アーティストたちの多種多様な作品を紹介したが、そのときのテーマの一つが「女性の身体」であった。男性作家によって、性的な誘惑の対象として描かれる身体が、女性自身によってはどのように表現されるのだろうか。碓井ゆいの近作「SOMETHING RED」もその卓抜な回答の一つだろう。
「女は子宮で考える」という、侮蔑を含んだステレオタイプな男の言葉に対して、碓井は「子宮“と(一緒に)”考える」こともあるかも、として、柔らかく切り返す。子宮を内部に蔵する下腹部を覆う下着(ショーツ、パンツ)をモティーフにして、それに刺繍やアップリケを施す。それは、典型的な「女の手芸」の領域に属することだ。しかし碓井がそれぞれの下着のために選んだ子どものパンツのようなかたちや柄、アップリケは、「セクシー」「可愛い」「綺麗」という一般的な価値観からずれていき、女たちのつぶやきや本音、男が作る社会に対するレジスタンスが展開されているのに気づくだろう。小さな下着を舞台に、ひそやかにしたたかに。
「RED」には、女たちが毎月流す血に対する苦痛や煩わしさ、その生理ゆえに生命を産み出すことのできる身体機能に対する自負と重荷の双方が込められている。女の身体は複雑で壊れやすそうでいてなかなかに頑丈だ。碓井ゆいは、「女性の身体」に対する女性自身の表現に、またひとつの新しい風景を付け加えた。小さいもの、可愛いもの、女性が日常使う生活用品や衣服の中に、気づかないうちに植え付けられた性役割の「政治性」を、秘められた針のようにチクッと刺してあぶりだしてみせる。その刺された傷にも気づかない鈍感な男たちは(女も)、現代を生きる資格がない。
小勝禮子(美術評論・元栃木県立美術館学芸課長)
【作家紹介】 碓井ゆい USUI YUI
1980年 東京生まれ
2006年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修了
【個展】
2017年 横浜市民ギャラリーあざみ野showcase gallery(横浜)
sugar XYZ collective(東京)
shadow work(小山市立車屋美術館・栃木)
speculum studio J(大阪) 他
【グループ展】
2015年 O Shanaynay(パリ)/Japanese Nightingale Doesn't Sing At Night
curated by AmericanBoyfriend, XYZ collective(東京) 他
ギャルリー志門
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