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<香川 檀 企画>
ジェンダー/女たちが展く新しい風景 Vol.1

達 和子 展

ギャルリー志門30周年記念特別企画No.9

達 和子展 ジェンダー
会期

2017. 9.4mon~9.14thu
11:00~19:00(最終日は17:00まで)

 

是非ご高覧くださいますようお待ちしております。

作品紹介

達 和子 「花になる」

生命(いのち)の芽を孕んでぼってりと膨れた胎嚢のようなものが小刻みに震えている。
「胞」と名付けられたその袋状のものから、いままさに時が満ちて、胞子たちが一斉に飛び散っていく。身籠りと、万物の芽立ち、そして生命を明日につなぐ営みが、あるときは激しくエネルギッシュに、あるときは愁いをおびてメランコリックに、さまざまに異なる情景のなかで繰り返し描かれてきた。
だが、最近の絵は少しちがってきている。種を孕む容れ物であった「胞」が、それじたい自足して、なにやら華やいできた。つまり、「花になった」のだ。

海外で子育てに専念しているさなかに絵を描くことに目覚め、帰国後に40歳を過ぎて美術の勉強を始めた達和子は、コラージュや版画などの試みを経て、アクリル絵の具による有機的な抽象絵画に辿りつく。即興的に線を描きこみ、砂をまぶし、絵の具を掻き落としたりして、イメージの到来を待つ。こうして生み出された《胞》のシリーズは、十年以上にわたる探求のテーマとなってきた。そこに、意図したわけでもなく、作家自身の背負ってきたもの、家と親子、愛と葛藤、女性であることの悦びと息苦しさが、鮮やかな傷痕として浮かび上がってくるのだった。

胞」が「花」になるのは、生物の理(ことわり)からすると、理屈に合わないかもしれない。ふつうは、花開いて、それから実をつけるのが順序なのだから。けれども、ここまで走り続けてきて、もうそろそろ命をつなぐことからも自由になって、誰のためでもなく自分のために「花になる」、そんな円熟の恩寵のようなメタファーをついに手に入れたのではないだろうか。
香川 檀 (かがわ まゆみ 表象文化論)

略歴

【作家紹介】 達 和子 DATE KAZUKO

1947年 滋賀県生まれ
1969年 武蔵野大学卒
1975~1990年 香港在住
2000年 武蔵野美術学園造形芸術研究科卒

 

【個展】
2001年 ギャラリーセンターポイント
2005年 ギャラリー山口(2007年、2009年)
2008年 ギャルリー志門(香川檀企画 ジェンダー/女・もうひとつの美)
2011年 関口美術館
2008年 ATELIER・K (2014年、2016年)
2017年 Steps Gallery
      岐阜現代美術館、他多数

 

【グループ展】
1999年~2000年 第28回、第29回現代日本美術展(東京、京都)
2000年~2010年 モダンアート協会展(50周年記念 山口薫特別賞、奨励賞、
      俊英作家賞、優秀賞、安田火災美術団体奨励賞)
2001年 上野の森美術館大賞展(優秀賞)
2014年 CWAJ現代版画展(2017年)
2008年 国際交流女性現代美術展(BankART Studio NYK)、他多数

 

【作品収蔵】
上野の森美術館、小豆島池田美術館、関口美術館、Fango美術館、
ハイメサビーネス美術館、岐阜現代美術館

会場

ギャルリー志門
〒104-0061 東京都中央区銀座6-13-7新保ビル3F
Tel:03-3541-2511/Fax:03-3541-2512
HP:http://g-simon.com/

地図
ギャルリー志門 地図

東京メトロ:日比谷線・丸ノ内線・銀座線「銀座駅」A3出口より徒歩5分
都営浅草線/東京メトロ:日比谷線「東銀座駅」A1出口より徒歩2分

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