【作家コメント】
私は石や木を彫っている。彼らは独自の言葉で呼びかけてくる。宇宙で最初に光がいでて以来、様々なもの
が存在してきた。悠久の時間の流れの中で、彼らも自分もひとつの宇宙のちりに過ぎないことを思い出させて
くれる。
大学院修了後、三ヶ月半ヨーロッパの村々にあるロマネスク建築を巡り歩いた。ロマネスク建築は大概が村
の辺鄙な場所に建てられた中世の修道院であった。人間社会が産業化によって一変する前、人々が生活の営み
の中で祈った跡が、石を積んだ教会に染み込んでいた。教会を出ると、草原で穂が風に揺れている。私は無性
に石が彫りたかった。
展覧会タイトルは「祝福された地へ」を改め「未だ見ぬ地へ」とした。一秒先のことでさえ、自分の考えや
計画を越えている。未だ見ぬ地なのだ。
【略歴】
1988年 | 横浜市生まれ |
2006年 | 東京都立芸術高等学校卒 |
2012年 | 東京藝術大学美術学部彫刻科卒 |
2014年 | 東京藝術大学大学院美術研究科修了 |
【グループ展】
2015年 | 第10回「アトリエの末裔あるいは未来」展 (東京藝術大美術館陳列館/上野)他多数 |
【賞歴】
中澤安奈、初個展です。何卒、ご高覧いただきますようお願い申し上げます。
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