【テキスト】
2010年10月、”シュタイナーの思想から芸術を考える”をテーマにした「天の果実」展が、
小泉晋弥氏(茨城大学教授・美術評論家)の企画により銀座のギャルリー志門にて開催され
ました。佐々順子はメンバーの一人として参加し、森羅万象を彷彿とさせる作品を発表しまし
た。その半年後、東日本大震災が発生します。佐々は禅やTAOに影響を受けるようになり作
品は大きく変化していきます。今回はリトグラフやデジタルプリントなどを駆使した作品
「Now and Here」「Gaia」など震災以降に制作した新作約20点が展示されます。
【作家コメント】
個展によせて -大地・星々との同調-
ギャルリー志門の企画展に参加して3年が過ぎました。その間、東日本大震災があり、世界各
地でも様々な自然災害、民族や国どうしの諍いや内戦などの人災も含め、地球規模で何かが
動いているという感触とともに文明社会の行き止まりのようなものをうっすらと感じています。
嵐がやってきそうなある日、窓の向こうに大きくどんよりとした雲。
まるで生き物のような様相で、威風堂々、ゆっくりと動いてゆく。
林の中をゆったりと優雅に流れていく風。雷の一瞬のプラズマ。
それらの変化していく大気に静かに耳を澄ませていると、大気のメッセージが体の中に浸透し
てくるかのようです。
月の引力で動くさざ波。壊れてもくずれても再生していく大地。
「私たちのDNAには大地や星々と同調できるコードがある。」
そう信じながら、ご高覧いただいた皆様に、「今、大切なもの」を考えるきっかけとなれれば幸
いです。
2014年4月 佐々順子・美術家
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