南条嘉毅は本物の「土」を使った非常にユニークな方法で絵画を制作しています。
まずは作家本人が多くの街や山々を、自然が風景に変わる境、自然が物質となる境、
そして物質のキワや色などを客観的に分析しながら歩き、ある地点の風景を選び出し
ます。次にその場所の本物の「土」を採取します。選ばれた景色はキャンバスに描か
れるわけですが、それは単なる風景描写ではなく、作家の視点で大胆に、時にアンバ
ランスな程に様々な要素を削りとって描かれます。さらに、採取してきた本物の
「土」をキャンバス上に重ね合わせることにより、1つの画面に再構築された要素
は、まるで標本箱のように壁に飾られることになるのです。
展覧会タイトルは「富士登山」。江戸時代、富士登山は庶民のあこがれる旅の一つで
した。今回は海抜0m、駿河湾を眺める田子の浦から富士、富士宮、山麓の樹海を抜け
富士宮口から頂上3776mの剣ヶ峰まで歩く中で南条がみつけた世界をキャンバス上に
表現します。どうぞご期待ください!
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